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杞憂で有って欲しい事

予定は決まった、向かう先は敵地だ、無駄に争う気は無いが準備だけはして

おかなければならない。

皆が帰って来る前に車の改造を思い付き手を着けている、やっているのはル

ーフハッチの取り付け、場所はパッセンジャーシート間の足場の真上、左右

への観音開きで、目的は当然車内からの銃撃。

相手はゴブリン、有無を言わさず襲撃されれば強行突破も視野に入れて置か

なければ成らない。

考え得る手立ては打っておくに越した事は無い。


ハッチが完成し作動を確認する頃にはぼちぼちと討伐から帰還する者が出て

来た、最初に帰って来たのはフランカ。


「何遣ってるんですか?セリア様?」

「あぁ、お帰りフランカ、屋根に扉を付けたのよ」

そう言ってパタパタと開け閉めして見せる。

「そんな物付けて如何するんですか?」

「車乗のまま銃撃出来る様にしたのよ、万が一の保険ね」

「でも、これから帰るんですよね?」

「帰らないわよ?」

「でも、もう魔物は居ませんよ?」

「これから向かう所には少しは居ると思うわよ?」

「えっ?何処へ行くんですか?」

「ゴブリンの里よ」

「えぇ~~!?セリア様ゴブリンの里に喧嘩売るんですか~?」

「そんな事しないわよ、多分喧嘩にも成らないと思うけど」

「でも彼奴ら女を見ただけでもっこりさせるじゃないですか、あたし達を見

たらすぐに襲って来ると思うんですけど?」

「それは行って見れば判るわよ」

そこへアリエスが戻って来た。

「よぉ~お前ら何遣ってんだぁ~?」

「ねぇねぇアリエスぅ~セリア様これからゴブリンの里へ行くんだって~」

「かぁ~流石セリアだわレアな所が好きだね~」

「でもゴブリンに襲われちゃうよ?」

フランカが心配顔でアリエスを見ている。

「あぁ?そんな事有る訳ね~だろ?お前何時からゴブリンより弱く成ったん

だ?」

「あっ!?そうだよね~やられる前に殺っちゃえば良いだけだよね~」

「やられるってお前の防御魔法はそんなに薄いのか?」

「そ~だよね~当たったら向こうが折れちゃうね~」

「それは間違いね~なアッハッハッハ」

そんな漫才をしている内に皆がゾロゾロと帰って来るのが見えた。


グリゴリを出立したのは13時過ぎ、ラウラさんが同行を懇願したが却下し

た。

父親と折り合いが付いていないので連れて行く訳にはいかない、どの道戻っ

て来るのだし。

どうせなら通った事の無いコースと言う事でアルメン経由で行く事にした。

時間的にアルメンで1泊する事になるのでヘルマン氏(ラウラの父親)に鑑

札を発行して頂いた。


道中散発的に街道を横切る魔物を討伐しながら進んだが、それでも到着は1

6時半過ぎ、途中で襲われたで有ろう馬車の残骸を見つけたが生存者は居な

く遺体も無かったが、生者が居たで有ろう痕跡は有った、全てを救えない事

は解っているのだが居たたまれない、無事で在る事を祈ろう。


アルメンは旧都市と言う事で城壁が残っていた、門番も物珍しそうに車を見

てはいたがヘルマン氏の鑑札を見れば何も言わずに素通しだ。

初めての街なので宿屋は門番に紹介して貰ったのだが流石にハズレな所は教

えなかったらしい、確りした応対が出来る所のようだ、給仕のお姉さんに聞

けば魔物も結構来たそうだが其の侭遣り過ごして終わったらしい、こんな時

は城壁様々だ。

ここへ来て驚いたのはイケメンが多い事だ、ここにカリアスが居れば歓喜し

たかも知れない。

女性は美人と言うよりはカワイイ系が多いし身長も高くは無い、ラウラはデ

カかったが。

アルメンに着いて判ったのだがここは寒い、曇り空と言う事もあるのだがミ

ニスカメイド服では少し辛いので荷物を宿屋に置いてぞろぞろと服屋へ。

狙いはコート、冒険者用の羽織るだけのショートコート、出来れば長袖が欲

しい。

私も女だ、買い物は楽しい・・・筈だった。

形は確かに私の望む物だったが、自分で選ぶ事は最後まで出来なかった、私

の選ぶ物は悉く却下されてしまい、満場一致で決まった物を着ている。

元々着る物に頓着は無かったがセンスの無さを自覚すると流石に凹む。

”今後は1人で買い物をするな”とサラに口を酸っぱくして言われてしまった、

最近のサラは事有る事に手を出し口を出し、甲斐甲斐しく世話を焼く様に成

ってきた、それもヴァルキリーのクラリスが眷族に成ってからだ、あの子達

は空を飛べて私の居場所も判るので、就業時間が過ぎるとちょくちょく飛ん

で来ては暫く私にくっついてから帰って行く。

そんなある時サラが文句を言ったら”常に一緒に居る貴女に言われたく無い

わ”の一言から始まった、”そんなに世話を焼かなくても良いぞ”と言ったら涙

目に成って睨まれてしまった、ベッドサイド戦での勝率の低いサラだけに強

くは言わないが、全員が揃った時の事を考えると頭が痛い。

今は18時過ぎ、夕食まで時間が有るのでベッドサイドに腰を降ろしている

のだが両脇にはクラリスとレベッカがベッタリ張り付いている。

テーブルセットに座る何時もの3人は素知らぬ顔をしているが殺気を漂わせ

ている、私が一言”たまになのだから許してやれ”と言ったからこそ我慢して

いるのだが、2人が来た日だけは食後から朝まで私の自由時間は無い。

感けて何とかしない私も悪いのだが、今後の事を考えると早急に手を打たね

ば成らない。

2人が来た日だけは朝まで答えの出ないこの思考から抜け出せなくなるセリ

アであった。








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