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事の真相

日が暮れた今はこの館の侍従達に篝火を幾つか用意して貰いそれに群がる羽

虫の様に寄って来る魔物だけを討伐している。

視界の聞かない闇の中では、神経を集中しなければ成らない分疲労が蓄積し

易く敵の発見が遅れれば対応が間に合わずに負傷する事が考えられる為だ。

まぁそんな事は副次的な理由なのだが、この里で接敵してから現在までに倒

した敵の数が予想より全然少なく合計しても五千に満たない、あの時ダンジ

ョンから溢れる魔物は山脈に隔てられ扇状に拡がっていた、ダンジョンから

この里とタブリスまでの距離は略同じ、万に近い魔物が居ても可笑しくは無

い、なのに何故これ程少ないのか。


セリアはフランカとエレナを警戒に当たらせ皆の意見を聞く事にした。

「皆も気付いていると思うが魔物の数が予想以上に少ない、ダンジョンから

の放出状況を鑑みて、この数は余りにも少なすぎる、こう言う場合の魔物の

特性が判らないので皆の意見を聞きたいと思う、何か思い当たる事は無いだ

ろうか?」

暫く沈黙が続いた後ニナが手を挙げた。

「タブリスに着いた時、南下して来る魔物は殆ど居ませんでした、目に映っ

た光景は東へ移動する魔物の群れでした」

「確かにそうだったわ、だからこそ私はサラに東方面の討伐を指示したのだ

し」

そこでアリエスが口を開く。

「と言う事は其の侭西へ抜けて行ったと言う事だな、所で魔物は何に反応す

るんだ?」

そう言われセリアは一つの事に思い至った。

「魔物は命に、生物に反応する、この町で生物を発見出来なかった魔物は見

つけるまで突き進むと言う事か?」

ティアが手を挙げ疑問を呈した。

「然しタブリスの時と違い興奮状態の魔物は居ませんでした」

「確かにダンジョン内の時みたいに接敵しない限り殺気すら放っていなかっ

たな」

アリエスが捕捉した。

今後の方針に悩むセリアは知っているで有ろう人物に、聞きたくは無いのだ

が聞く事にした。

(おい!!)

「はい!!」

瞬足で表れたそれは既に揉み手をしている。

(コイツ何か知っているな?)

「いえ!?私は何も知りませんよ?~」

「私は何も言っていないけど?」

「あっ!あれ~?あれ~?変だな?~可笑しいな?~」

明らかに動揺している女神に溜息を吐きつつも必要な事だけを問い質す。

「スタンビートは終わったの?」

「昨日、通常運転に戻っております」

「残った魔物共はどうなるの?総て討伐しなければ成らないの?」

「いえ、その必要は有りません、手近なダンジョンに近付けばダンジョン入

口が開いて勝手に入って行きますから」

「そう、ダンジョンを管理運営しているのは貴女だったの」

「いえ、いえ、いえ!滅相も無い!私は唯の御用聞きです」

体の正面で片手をパタパタと横に振っているが汗がドッパリ噴き出している。

「ではこの市街地の魔物共を討伐すれば問題は無いと言う事?」

「そうです!後は勝手に帰りますです!」

ここで話を終わらせたいので有ろう女神はビシッと敬礼を決めて固まってい

る。

「貴女この間と随分言葉遣いと態度が違ってない?」

「あれ?あれ?あれ?変ですね?何ででしょうかね?」

無意識的に自分より上の存在だと感じ取っている女神である。

其れを見たセリアは長い溜息を吐くとこう言った。

「判ったから”もう下がって良いわよ”」

自覚か無自覚かは判らないが、完全に上から目線のセリアであるが、突然

現れた謎の存在に”然も有りなん”との表情でやり過ごす周りの反応に気付

かないセリアなのだった。


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