王女の思惑 レプラカーンの悲劇
昼前に銭湯へと戻ったが新製品4点が品切れ寸前になっていた。
取り急ぎ30点ずつ創って補充し昼御飯、素材は充分確保した積もりだった
が、既にパンツの生地は半分は消費している。
結局新製品の資材の仕入れと製造で5時間を費やし今日は終わった。
此の侭では製品製造に忙殺されかねない、夕食を済ませて術式記述の詠唱製
造では無く、パソコンで確立した魔法陣プログラムにして魔力を込めるだけ
で製造出来る仕様にした、これで魔法士さえ居れば製造が出来る。
朝、支店が開店すると共に支店の雇われ魔法士3人に3時間置きに銭湯にて
在庫の追加を指示して引き継がせた、これで私は晴れて自由の身に成ったと
思ったのだが狙い澄ましたかの様に王女御来場の知らせが来た、頼み事をし
ている以上立場はこちらが下だ、行かねば成るまい。
クリスタは銭湯事務所で待っていた、護衛も連れずに1人で来たらしい、そ
れでいいのか王女よ。
邂逅1番スクロールを渡される。
「紹介状よ?」
「態度が熟れ過ぎじゃないですか?」
「貴女が親友だと言ったんじゃない」
「は?仲の良い人とは言いましたが?」
「それを親友と言うんじゃないの?」
「そうなのでしょうか?」
「きっとそうよ、それで決まりね?」
「はぁそうですか」
貸しを逆手に押し込まれていると感じるのは私の思い違いだと思いたい。
「それと圧力は掛けて置いたわよ?反応が悪いのは男爵の方ね、元から評判
の悪い2世男爵だから叩けば埃は幾らでも出ると思うわよ?こっちとしては
次男か長女の方が都合がいいから追い落としてもいいわ」
「何か身も蓋も無くなってませんか?」
「あれだけ嗅ぎ回っていて情報を掴んでない何て言わないわよね?」
「お見逸れ致しました、それで何を御要望でしょうか?」
「なんだ判ってるんじゃない、先ずは王族と主要行政機関へのスマホの早期
供給とパンツね」
「パンツの種類と数は?」
「一応抑えたんだけど男女共に早期供給分は500枚ね」
「順次供給しますが行政の方は配給順位と機関のリストと必要数を明記の上
提出してください」
「私の分のパンツは有るのよね?」
「もちろんですとも」(遅かった理由はこれだな)
「後、奴隷市場の件だけど今月の従業員の給金支払いから御願いしたいのだ
けど?」
「今月から委譲と言う事ですね、了解致しました」
9日未明、まだ日も開けやらぬ早朝の静寂を打ち破るかの様に扉を打ち叩く
音が鳴り響いた。
レプラカーンの里、主要派閥筆頭フリッツ・ベイフェルト邸の寝室に響いた
それはフリッツを現実世界へ引き戻すには充分過ぎる騒音だった。
「何事だ!こんな夜も開けぬ時間だと言うのに!」
その言葉を受けて侍従が扉を開け慌てた様子で報告をする。
「本日未明休眠中と思われていた西部のダンジョンより突如魔物が出現し、
現在スタンビート状態に移行し市街地を急襲しております、多数の死傷者が
発生しており、各警察署より討伐隊が出動しましたが劣勢は明白、押し切ら
れて市街地を蹂躙されるのは時間の問題と連絡が有りました!」
驚愕するフリッツは数瞬の内に我を取り戻すと声をあげた。
「議会に非常呼集を掛けろ!私も議場へ行くぞ!出掛ける支度を!」