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ブラント奴隷市場

到着は昼食を摂っても余裕だった、今は支配人室で登録をしている。

ここは支配人も案内役も女で、しかも2人共若い。

聞けば先代が病死の為の交代らしい、話の切っ掛けを掴んだので聞く事を一

気に聞いた。

「所でここの経営者はどなたなのですか?」

「ここは個人で経営されている訳では無く国からの委託によって商業ギルド

が運営しております」

「では最高決定権をお持ちなのは皇帝なのですか?」

「創立当初はそうでしたが、第1王子、第2王子共に管理を嫌がられ、現在

は第1王女のクリスタ様が管理されております」

(おお!これは渡りに船かもしれないな)

「ギルドで受けた理由は?そもそも何故皇帝が?」

「どこの商会も嫌がったと聞いております、戦犯なら兎も角、一般の犯罪者

もとなると国の負担が大き過ぎると言う事で渋々ギルドが受けた様です」

「しっかりした受け答えで頼もしい限りですね」

「お誉めに与り光栄です」

2人が軽く頭を下げる。

「御二人共随分若いですがお幾つなんですか?」

「私が22歳で案内役が20歳です」

「そうですか、今日は宜しく御願いしますね」

そう言ってセリアは案内役に頭を下げた。

「こちらこそ、当市場を御利用頂き有り難うございます」

案内役が恭しく頭を下げた、その所作にセリアは微かに興味が湧く。


VIPルームで腰を降ろすと案内役が透かさず”今度は熱い物を”と口添えし

て熱い紅茶を出してくれた、先程支配人室を出際に冷えた紅茶を一気飲みし

たのを見ての対応だろう、気遣いが細やかな良い従業員だ。

VIPルームに着いた時、オークションは既に始まっていた。

男は要らないと言ってあるので紅茶を飲みつつ勉強がてらに落札価格の予想

をしてみる。


割と高齢の犯罪者は予想を裏切らない価格になるが、やはり若い男が難しい

20歳を切るとほぼ総てが好色系の需要なのだが、勉強の為と案内役に解説

を頼んだ、解説されてこちらが茹で上がってしまった、相当経験豊富な案内

役かと思いきや”経験はございません”と言われた時は返す言葉が無かった、

慣れとは恐ろしいものだと思ってしまう、将来”あそこ”で愛を判断しない事

を祈るだけだ。


男も終わり女に切り替わったが25歳前後で犯罪者が暫く続いた、理由を聞

くと適齢期後半の痴情の縺れでの犯罪が女には多いらしい、吊った魚を逃が

したく無いのは女も同じと言う事か。

なかなか年齢が下がらない事を聞いたら、帝都には職業斡旋所が在り長期に

限らず仕事を紹介するので食いっぱぐれはそうそう居ないらしい、良い政策

だと感心したが、管理がクリスタに代わってかららしい。


最後に目玉が有ると聞いて楽しみにしていた、資料には女、16歳としか無

い、然し、私は出て来た商品を見て訝しんだ、確かに高身長でプロポーショ

ンも抜群の美人だが普通の女だ。

すると、案内役が”首の横を御覧下さい”と言うので良く見ると”鱗”が有った。

驚愕する私に案内役が耳打ちをした。

「あれは多分リザードマンの変異種か人族とのハーフですね」

思わず札を上げてしまった、捕獲地はダークエルフの里の奥地らしいがアル

リアの市場が買収騒動で休止しているらしくここへ送られて来たそうだ。

落札価格は55枚、半端な金額だ、人では無い事への迷いの表れなのだろう

か。


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