丁度良い距離感
今回私は悩んでいた、今までは民間人相手だったが今回の交渉相手は公権力
だ、一筋縄では行かない、何処かに有るかも知れない”穴”を捜す為には情報
収集をしなければならない、そしてその仕事にピッタリな人物を私は知って
いた、アリエスだ。
そして酒場のテーブル席の正面にはそのアリエスが座っている。
「アリエス、貴女に頼みたい仕事が有るんだけど引き受けてくれる?」
「おぅそうか?丁度良いな、あたしもお前に話が有ったんだ」
「じゃあ私から話すわ、情報収集の仕事を御願いしたいのだけど?」
「おおっ!!ドンピシャだな、あたしは雇ってくれと言おうと思ってたんだ」
「情報部はどうしたの?」
「辞めた」
面を喰らった様なセリアの顔をアリエスはニヤニヤと見つめている。
「いつ?」
「クロエに辞表を持たせた」
「は~~貴女は変わらないわね~」
「と、言う事なんで無職だから宜しく~」
「じゃあ、貴女、今日からウチの商会員ね、それでいい?」
ニヤニヤ顔から一転、困惑顔と成ったアリエスが身を乗り出してセリアに
詰め寄る。
「何だよ、眷族にはしてくれないのか?」
「どうして眷族になる必要が有るの?貴女はいつも自由気侭じゃない?」
「そうすりゃ老後の面倒も看てくれるんだろ?」
「成らなくても看てやるわよ?」
一瞬固まったアリエスだったがドッカリと椅子に座り直すと不満顔を呈した。
「そんな一方的な話じゃ駄目だ、対等じゃ無い、あたしはお前に躰を預けて
も良いと思っているんだ」
「そうは言っても私にそんな趣味はチョットしか無いわよ?」
「少しでも有るなら良いじゃね~か、あたしの処女貰ってくれよ?」
「貴女が処女なんて初耳よ?」
「ひで~奴だな、あたしはこう見えても男に抱かれた事なんて無いんだぜ?」
「女なら有るのね?相手はエルミー?」
「あいつも処女だしお前が好きなんだ、そんな奴に手は出さないさ」
「それなら私達がそう言う関係に成ったらあの子が泣くわよ?」
「エルミーも入れてやれば文句は言わないさ」
「それはそれで大変そうね」
「あたしは3人でも全然大丈夫だぞ?”受け”でも”攻め”でも良いからな」
「こっち側で両刀使いですか、流石アリエスね」
「誉めるなよ、お前の処女なら貰ってやってもいいぜ?いや?むしろ欲しい
な」
「そこまで思ってくれているのは嬉しい限りだけど、考える時間は頂戴ね?」
「3人同時で初めてなんてゾクゾクするな?」
「私は今、違う意味でゾクゾクしてるけどね」
周りの男性客が股間を押さえているのを気にも掛けない、気の置けない仲の
2人であった。