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厄介事

昼も近いので酒場へと車で乗り付け、入った途端に先に来ていたアリエスと

目が合った。

私の後ろに続く面々を見廻して爆笑し出した。

「いや~笑った、笑った!お前結局目一杯増えてんじゃね~か!」

その瞬間ニナがアリエスの首元にレイピアの刃を貼り付けていた。

「セリア様に対して無礼は許しませんよ?」

ニナが初めて出した半端では無い殺気で酒場内の他の客が色めき立つ。

「・・おぉ~おっかね~ね~ちゃんだな、セリア何か言ってやってくれ」

「ニナその辺にして置いて、そいつはアリエス私の友人よ」

「今の無礼に礼を取る必要を感じませんね」

そう言いアリエスを無視し納刀するニナを押し退けてクロエがニナの前

に躍り出た。

「何で貴女がここに居るのよ!」

「お?クロエじゃね~か、久し振りだな~学院以来か」

「あんた情報局に入ったんじゃなかったの?何でこんな所に、あっ!」

クロエは其の侭固まっている。

アリエスは溜息を吐くと口を開いた。

「大丈夫だよ、もうとっくの昔にバレてるから、なぁセリア」

「あ?諜報員の事?」

「ほれ、言った通りだろ?」

「私は気にしてないわよ?貴女の仕事じゃない、寧ろ貴女がまだ私に付き合

っているのが不思議な位よ」

「アッハッハッそうだな、あたしもそう思うよ、立ち話もなんだみんなで飯

でも喰おうぜ」

「そうね」

アリエスの隣に座ろうとしたセリアは割って入ったニナの頭を優しく撫でて

やるのだった。





今カリアスの自宅のテーブルで椅子に座り紅茶を飲んでいる、全員家に入り

切れないので皆好きな所で寛いでいる、私の右側に立つのはニナ、左側には

アンジェ、後ろにはサラ、ドライアイスが蒸発するが如く3人の発する殺気

が周りに漂っている、正面に座るカリアスは微動だにせず顔から冷や汗を流

している、紅茶を啜り溜息を吐いて口を開いた。

「悪いのだけど、少し外に出ていて貰えない、カリアスが少し可哀想だから」

それを聞き無言で3人は外へ出て行った。

「すまないわね、カリアス」

「いいえ、とんでも御座いません、私は何とも」

「貴方、更に言葉使いが丁寧になったわね」

「お気になさらずに、まだ会社に馴染んでいないだけですので、しかし、サ

ラもニナも別人ですね、ここに居た時の面影が全く無いですね」

「それは育った環境も有るのでしょ、普段は優しい良い子達なの大目に見て

あげて」

「そんな、私など相手に成るわけないですよ、殺気すら出せないんですから」

「それもそうね、所で例の物はどう?」

「出来てます、仕上げはセリア様にして頂ければ終了です」

「そう、早かったわね?」

「ユリが思いのほか魔力が高く捗りました」

「ユリもこの先が楽しみね、ではトレーラーを見てみますか」


裏の物置場へと移動し各部のチェックをする、まるでおとぎ話に出てくる馬

車の様にエッジが効いていない車体を魔法陣で矯正していき作動を確認した。

「流石ですね、ここまで切れの有る仕上がりは私には無理ですよ」

「魔法陣は同じなのだから、様は慣れね?実際に現物が在れば

イメージ増強で同じ物が創れるはずだけど?」

「それは細かい所まで知っていてイメージ出来るかどうかの違いですよ」

「確かにそうね、今度からは留意するわ」

トレーラーを車に接続し試乗の為カリアスにトレーラーに乗って貰い表通り

迄移動すると何やら冒険者ギルドの前が騒がしい、トレーラーを引いている

ので人垣が邪魔で曲がりきれない、窓を開けて声を掛けた。

「御免なさい、除けて貰えないかしら?」

ギルド長がトレーラーにカリアスを見つける。

「カリアス、お前討伐隊を集めたのか!」

「イヤイヤ、違いますよ、この間就職したんでその会社の方達です」

「そうか!やったじゃないか!それでどこの会社だ?」

「アルリアのセリア商会って所ですよ」

「そうか、そうか、アルリアのセリア商会か!良かった、良かっ?!セリア

商会!!あのセリア商会か?」

「そうですが?」

「そうか・・・」

「それじゃ失礼します」

「ちょ、ちょ、ちょっっっと待て!」

ギルド長はカリアスに近付き耳打ちをした。

「なぁ、あそこに座ってる人って、誰?」

「セリア商会の代表さんです」

「それって、もしかしてセリア・トラーシュさん?」

「そうですが?」

「ちょっっっっとで良いから話聞いて貰えないかな?」

「それは聞いてみないと」

「御願い!聞いてみて!この通り」

そう言い合掌し頭を下げている。

「はぁ~ちょっと待っててくださいね」

カリアスは溜息を吐きつつも運転席へと歩み寄って行く。

「セリア様、ギルド長が聞いて欲しい話が有るそうなんですが」

「聞くだけなら構わないけど、この人垣を何とかして貰わないと車を動かせ

ないわ?」

「じゃあ話着けてきますね」

「ええ、御願いね」

カリアスがギルド長と2,3話すとギルド長の一声で人垣が引いた。

ギルド前へと縦列駐車し、降りた途端に揉み手をするギルド長が目に入る。

(これは厄介事確定だな)


その流れで、ギルド長室のソファーに座りギルド長と対峙している、テーブルには紅茶と

焼き菓子、ギルド長が頭を下げてこう言った。

「セリア様と見込んで助力を御願いしたいのです」

「話が見えませんが?」

「あっ?!申し訳ありません、データベースにイラリオの1件が載っており

まして」

「イラリオの?何ですか?」

「討伐の件です」

「ああ成る程、それで?」

「討伐を御願いしたいのです」

「あれは領主案件ですから通常料金の倍ですが?100名金貨200枚です

よ?」

「そこは私の方で話を着けます」

「それで討伐対象は?」

「2つの街道にそれぞれ100、合計200です」

「ライカですか?」

「その様です」

「依頼書で確定してください、討伐は3日以内に」

「有り難う御座います」

「いくわよ、カリアス試乗をしないと」

「ハイッそれではギルド長、失礼します」

カリアスは引き上げる際、しみじみと言った。

「セリア様、私はセリア商会に入って本っ当に良かったです、他人を見下ろ

すって気持ちが良いんですね」

「カリアス、”みおろす”のは構わないけど、”みくだす”様になったら私がお

前を討伐するから覚えて置きなさい?」

「・・肝に銘じておきます」













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