ライカ駐在政務外交次官
ライカ駐在政務外交次官のクロエ・アーライドは何とかギリギリでイラリオ
の閉門時間に間に合い城壁内へと入っていた。
「全く人使いが荒いったらないわよね、閉門時間に間に合わなかったらどう
する積もりだったのかしら、あんな平原の何にも無い所でうら若き乙女が毛
布も無しでごろ寝する羽目になったら、襲ってくれと言っている様なもんじ
ゃないですか、寝具を揃えて護衛を雇えとか言われても経験無いから判りま
せんよ、ああ、そんな事より今日の宿と晩御飯を食べないと、何処かお店は
・・・・・・お?あそこに荷車が・・・お食事処!見つけました!もうお腹
ペコペコです、お昼ご飯食べてる時間無かったですもん、さっ早くっ早くっ
お店にレッツゴー!」
馬の手綱止めもそこそこに店内へと入ったクロエだがそこで立ち止まる事と
なる。
(あちゃー夕飯時だから結構混んでるわねー空いてるせ・き・は?お?有っ
た!ラッキー!)
「すいませ~ん、ここ相席宜しいですか?」
「あ~良いですよ~ど~ぞ~お?お、おば・さん?」
「何失礼!な?あ?!フラ・ンカ?」
「あ~!ヤッパリクロエ叔母さんだ~!」
「フランカ!あんたこんな所で何やってるのよ!」
「叔母さんこそこんな所で何やってるの~?」
「私は仕事よ!仕事!」
「え?行商の?」
「何言ってるのよ、私が政務外交次官だって貴女知っているでしょう、あっ
!ゴメン!フランカ!今の内緒にして、御願い!」
「うん、良いよ別に~」
「所であんたはこんな所で何やってるの?」
「あたしはね~従者やってるの~」
「従者って貴女お仕事してるの?」
「そうだよ~」
「従者って、護衛?」
「うん、そうだよ~この間なんか20人ちょっと殺しちゃったんだ~」
「はっ?貴女剣も魔法もからっきしだったじゃない」
「教えて貰って頑張ったの~嘘じゃないよ~これ見せてあげる~」
そう言ってフランカはステータスを開いた。
「何、これ!?貴女Aクラスじゃない!どんだけ強いのよ!」
「え~あたし皆の中で1番弱いんだけど~」
「一体どこの王族の護衛よ!」
「王族なんかじゃ無いよ~奴隷市場の社長さんだよ~あたしまだ見習いだけ
ど~」
「あんた私に雇われない?1カ月位」
「え~駄目だよ~あたし達明日リベリオまで行くんだから~」
「その話!乗った!!」
「え~、でもセリア様に聞いてみないと、ねえセリア様駄目ですか~?」
フランカは振り向いてセリアを見た。
「ん?構わないわよ?貴女の叔母さんなら断る訳にはいかないじゃない?」
「セリア様ありがとう!大好き~!」
クロエは超焦っていた、まさか本人が居るとは思っていなかった。
「すすす、すいません!御本人がいらっしゃるとは思っていなくて」
セリアはクロエの格好を見て口を開いた。
「でも行商だと馬車ですよね?荷車は持っていけますけど馬は無理ですよ?」
「別にそれでも構いません、そうすると馬車をどうするか」
「何ならウチの会社で預かりましょうか?馬の面倒位見させますよ?」
微妙にかみ合っていない会話に気付いていないクロエである。
「そうして貰えると助かります、では護衛と運送の代金は?」
「そんなフランカの親族の方から何て頂けませんよ、ついでですから気にし
ないでください」
「すいません、ありがとうございます」
「それで宿とかはお決まりですか?」
「いえ、まだ決めていませんが」
「それならウチの会社の提携先で如何ですか?お安くしますが?」
「何から何まで有り難う御座います、甘えさせて頂きます」
「いえいえ、私達も注文したばかりですので食後に御一緒しましょう私達も
そこに逗留しておりますので」
「是非宜しく御願い致します」
その後クロエの2つ目の驚きは馬の居ない荷車だった。