怠み
とりあえず一日を終わらしました。今日はおしまいです。
一体どれほどの時間が経過しただろうか、時計を見る限り気づけば昼頃になっていたようだった。
早栗は丸くなった背中を伸ばし、セーブしゲームを閉じた。
マンションの南に位置している早栗のアパートは、日中日が差さず時折時間の感覚を忘れそうになる。
軽く溜息をつき、スマホを確認しようと電源ボタンを押した。
しかしまだ画面は暗転したままで、試しに長押しすると、バッテリーマークが表示された。
早栗は小さく舌打ちすると、充電をさして、スマホを布団に放り投げた。
普段はそうしないのだが、ケーブルにつながっている限りはいくらでも見つかると思っているようだ。
特にやることもなければ、眠気も薄いからと秘蔵フォルダを開くが、二や三枚見ると早栗は眉を顰めた。ぱっと見で保存したものが、改めてみてみると、ろくでもない画像であったことがわかるとさっさとゴミ箱に突っ込んだ。
しばらくすると、スマホは再起動を知らせるバイブレーションを鳴らし、画面がついた。早栗はスマホを取り、通知を確認すると有象無象のメルマガ通知の中から
30分前と24分前に二通の不在着信があったことに気づく、何度もみたことのある番号だ。
とりあえず、またあとから電話が来るのがめんどくさいから今のうちに出ていこう。一定間隔で流れる電子音に続いて、3コールもしないうちにその音は途切れ、代わりに薄いノイズが流れる
それを認識した早栗は相手がしゃべるのを一瞬待ってからしゃべりだそうとした
「あ、もしもし?しょうちゃん?」
その呼び方はやはり姉のものだった
「うん、僕だけど」
「どうしたのよさっき、二回くらい電話かけたのに。さては女でもできた?」
姉は半分笑いながらそう聞いた。いつも電話がかかってくると、時折こんなことを聞いてくる。正直答えることすら億劫だが、早栗はいつものように答える
「...できると思うか?」
「いや全然」
即答だった。
「そういうお前はどうなんだ?」
あらかたは予想ついているが
「あたし~?えへへ...できちゃった」
まぁ、姉がこの話を持ち出してくるということはそんなところだろうな。
「も~相手からもうアタックしてきてさぁ~!!」
予測はおおむね的中した。
「そう。今度こそうまくいくといいね」
「いつもその言い方じゃん!私は今まで全部うまくいっているじゃない!」
しばらく姉の長話を聞いていたが、その内容のほとんどは元カレの愚痴で、今度の彼氏こそは、というが、正直長くて来年にはまた同じように愚痴をこぼすだろう
「ちゃんとご飯を食べるんだよ、今度近いうち東京行くから一回寄るね、それじゃ、私ごはんの仕度するから。またね。」
「うん、それじゃ」
通話終了ボタンを押す前から、スマホからポーポーと電子音が流れた。
考えるのをやめひたすら相槌を打っている間に、話したいことを話して満足したのか姉は電話を切った.
そうか、もうそんな時間か。そういうが夜勤の早栗にとっては今が夜のようなもの、ひとしきり通知の内容を見回したのちに、早栗は万年床に入った。
たぶん早栗はどっかでかける