二択
その後は、静かに窓口へと向かう。
勿論。追っ手がいないことを確認しながらだ。
窓口のは数名の職員が仕事をしている。
遅延による客への謝罪や、放送。どこかわからないが連絡を取っている職員もいる。
手の空いた職員を呼び止め、起こったことの全てを説明すると、『ちょっとお待ちください』と言うと一度離れ、駅長らしき人と戻ってきた。
『こちらへ』と駅長室へと案内された。
「まず、ありがとうと伝えさせて頂きたいです。知ってはいらっしゃるとは思いますが、デネブの仕業だと思います」
「デネブとは? なぜそう思うんですか?」
「ニュースを見てませんか? 最近テロを至るところで行っている組織です。スキルを使った事件は多々ありますが、これだけの大掛かりな物となるとデネブとしか考えられません」
なるほど、こちらでは組織というものが存在しているのか。
「これはどうしたら? そのデネブとかいう証拠品になるのでは?」
「そうですね。なると思います」
そう頷くと、『おい! 青木を読んでこい!』と誰かを呼び出した。
しばらくすると、一人の男性が近づいてきた。
この人が青木という人なのだろう。
「どうしたんすか?」
「ちょっと警察署まで行ってきてくれ」
「うわ、マジっすか? めんどくさいっすよ」
「ここにいたってたいして働かないだ。それくらいやってもらわなきゃ困る」
この青木って人は、仕事をしないのか⋯⋯そんな人に頼むとかおかしくないのか? それともこれが普通なのか?
「いいから行ってこい。お前はこう言うときの為にいるんだろう」
「あー、そうっすね。わっかりました。ちょっくら行ってきますよ」
そういうと、ライターをポケットにしまうと、ダルそうに部屋をあとにして行く。
「大丈夫なんですか?」
「心配いりませんよ。ああ見えて優秀ですから」
優秀と言われるんなら大丈夫なのだろう。
あまり首を突っ込むのもなんだし、「では、これで」と一言告げて部屋を出る。
色々と疲れた。
少し休みたかった事もあり、一度改札から出て喫煙所へと向かう。
すると先ほど出て行った青木という人が煙草を吸っていた。サボりだな。
「いいんですか?」
「あー、そんな急がなくても大丈夫っすよ」
俺も煙草に火をつける。残りを捨てるのも勿体ないので、昔の煙草だ。あまり美味しくはない。
「にしても大変だったっすね」
「そうですね。デネブってやつも知らなかったですが、巻き込まれたくはないですね」
煙草の煙を吐き出しながらため息をつく。
それを見ていた青木という人は、悲しそうな目でこちらを見ている。
「まー、なんとも言えないですけど、とりあえず寝たらいいんじゃないっすかね? 一旦落ち着くと思いますし」
「たしかに疲れている時は寝るに限りますよね」
休みの前の日にもなれば、酔いつぶれるまで飲んで、昼間で熟睡する事で英気を養っていた。
俺は挨拶を済ませ。しばらく駅が落ち着くまで、喫茶店で漫画を読みながらのんびりし、自宅へと戻ってきた。
まだ夕方ではあるが風呂に入り、コンビニで買った酒を飲みながら、ニュース番組を観ていた。
ニュースでは『デネブ』という単語がよく出てくることに気付き。こんだけやってれば知ってて当たり前だな。と、一人で笑ってしまった。
俺の記憶はここまでだ。初めての経験で疲れが貯まっていたのか、酒の回りが早かったんだろうな。
いつも通りに昼過ぎに目覚め、タバコに火をつける。テーブルの酒を片付けなきゃな。とぼーと考えていると、タバコの味がうまく感じるし、匂いも良くなっている。
一日で人は慣れるもんだな。と思いながらテレビをつける。
何て事はない普通の昼のワイドショーだ。
リポーターがご飯を紹介している。
そんな番組を観ていると腹も減ってくる。
そんな事を考えていると、メールの着信音が申し訳なさそうに音を出した。
業務用端末だ。
それを見ながら、聞いた台詞を思い出している自分がいて、おかしくなって笑った。
なにが、『一旦落ち着くと思いますし』だよ。
全くどっちに転ぶんだろうな。
こう言うときは決まって嫌な方に転ぶから、二択は好きになれないな。
短かったですが、一旦は完結します。
最終話だけうまくまとまらず時間がかかってしまいました。
《俺TUEEE出来るって異世界では常識だよね?》
にも良ければ足を運んでもらえればと思います。
評価が良ければ、次回作に繋げたいと思いますし。
評価を知りたいので、良くても悪くても秒お願いします。
ありがとうございました。




