目覚めの朝
明日は休みだ。
特にやることもない休日前は決まって宅飲みをする。
何か特別な酒を飲む訳じゃないけど、いつもより多く飲むことが幸せの瞬間だ。
ビールもそうだが、歳を重ねる毎に日本酒が美味しく感じる。
というか、ビールの炭酸がキツくなってきたのかもしれない。
気付けば34才になり、独身ライフを自由気ままに楽しんでいる。姉は『お姉ちゃんは20才までに結婚するのが夢なんだよね』と高校から言っていたが、見事20才でゴールインした。子供もすくすく成長しもう高校生だ。
良くも悪くも両親は他界しており、『お前はいつ結婚するんだ?』なんて、よく聞く言葉を投げ掛けられることは無い。だからかもしれないな、俺が結婚を意識しないのは⋯⋯
バラエティー番組で結婚を報告している芸人を見たからだろう。そんなことを考えたのは。人と外で飲んでるときは平気なのに、テレビを見ながら宅飲みをしていると二時間と持たずに睡魔がやってくる⋯⋯
こうなると眠気を誤魔化すために煙草の本数が増える。
それでも誤魔化しが効かなくなると、もう一杯だけ飲んで寝ようとなるのはいつもの事だ。
明日は昼過ぎに起きてから洗い物と洗濯をしよう。その後はスマホでゲームして⋯⋯。うん、ゆっくりしよう。と、思いながら電気を消して布団に入る。一人でいる特権だな。寝室で飲んでそのまま寝れるのは。結婚してたら『片付けてから寝て!』と言われそうだ。
何て事を考えながら横になると、いつの間にかそのまま眠り入っていた―――――
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眠気眼でベッド横になったまま煙草に火をつける。いつもの事だ。そのまま水を飲み、少しずつ起きることへと意識が向かう。
《んっ?》なんかいつもの煙草の匂いと違うな~と感じる。鼻が変かな⋯⋯。まだ眠い⋯⋯
なんかタバコの味も変な気が⋯⋯
ふと、手元の煙草を見ると色が違う。ん~⋯⋯。
煙草の箱に目を向けると、いつものとは違う。若い頃に吸っていたやつだ。こんなの買ったっけかな?
ぼ~としながらテレビをつけるとワイドショーがやっていた。
あれ? このアナウンサー、卒業したよな。なんかの特番か?
スマホに手を伸ばし、時刻を見ると11時半。連絡が来てないかの確認をするが特に何も来てはいなかった。
次に仕事のメールを確認の為に業務端末を見ようとテーブルに目を向けると、業務端末が無い。というか、昨日そのままにしたお酒も無い⋯⋯
昨日は結婚のことを考えてたから、酔っぱらって気づかないうちに片付けたのか?
ってか、業務端末はどこにいった? 探すのもメンドクサイ。自分のスマホの電話帳から業務端末を探して鳴らすことにしよう。
電話帳を開いて見るが、見つからない⋯⋯。
首筋をカリカリとかきながら、二本目の煙草に火をつける。美味しくない。
今度は最初の電話帳を見るが見当たらない。というか、昔に消したはずの連絡先が入っていて、最近の連絡先が全て消えていた。
《おいおい、マジかよ⋯⋯⋯。昨日の俺は何をしてんだよ》
と、思ったけど昔のデータなんて覚えちゃいない。バックアップは常に更新してるし、バグったか? どうすればいいんだよ。
そんなことを考えていると姉から電話がかかってきた。
『もしもし、今日休み?』
「休みだよ。なんで?」
『ちょっとさ遊佐見ててよ。買い物行きたかったんだけど、雨だからね~』
雨だからなんなんだよ⋯⋯。遊佐はもう高校生だろ。過保護すぎるだろ。
「何でよ? 遊佐風邪でも引いてんの?」
『え? 引いてないけど。雨だと抱っこしながらだと傘さしても濡れるじゃん』
「は?」
『え?』
⋯⋯⋯。
「いやいやいや、高校生の子供抱っこってバカなの?」
『え?』
なんか会話が進まない。姉は昔からそうだけどさ。
「だから、遊佐は高校生なんだから自分で傘させばいいでしょ?
なんで抱っこしなきゃなんないの?」
『え? お前、頭大丈夫? 遊佐まだ二才だけど』
「今日エイプリルフールでも無いし、嘘なら一秒でバレるけど、どーした?」
『いやそれお前だから、とりあえず暇なら来てね。待ってるから』
ガチャ―――。
姉は何がしたかったんだろう。よくわからん。昔からだけど。
電話を切り、ふと待受を見るとカレンダーが目に留まった。
【2004年9月15日(木)】――――。
⋯⋯頭が回らない。
テレビのCMでは、この冬上映と随分昔の映画のCMが流れている。
ネットで【今日は何日】と検索をかけてみたが、
【2004年9月15日(木)】と表示される。
タイムスリップ?
ならばなぜスマホが手元にある?その時代ならガラケーしか無いはずだ⋯⋯。
頭がまだハッキリしてはいないが、煙草の香りだけは懐かしい匂いがした。
短いですが、楽しく読んで戴ければと思います。
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