キスマーク
お久しぶり更新です
何回もキスマークって書いてるとなんか照れますね
「え。エミリア、その首元のやつ…」
「何かついておりますか?」
王宮での一件の翌日の今日、平日なので学校へ来ている。今は放課後なので恒例となっているレイからオススメの本を図書室で教えてもらっていた
私が斜め上の棚を眺め何か良さそうなものはないかと探していると、左に立っている彼が私の首元を見つめてきたのでその部分を手で触ってみたが何もなかった
「いや、何かついてるんじゃなくて赤くなってる」
「赤くですか?虫に刺されたのでしょうか」
かゆみも痛みも感じないので別に問題ないと思います、と言うとレイは驚いた顔をする
「ねえ、エミリアはキスマークって知ってる?」
「キスマーク…ですか?知らないですわ」
何だそれはという顔をすればレイは少し困った表情を浮かべる
「それは何なのでしょう?」
「…えーと、それはその~…」
「何と言いましたの?」
顔を赤らめながら俯きごにょごにょ話されると何と言っているのか上手く聞き取れない
「…まあ、その、君の侍女に聞けばいいと思うよ。部屋に戻ってから」
顔を赤く染めたままそう言うと、目線を本棚の方へ戻し話題を変えられた
自分から言ってきたのに少し無責任だと少し思ったが、結局何も言わずサリーに聞くことにした
私はあのあとレイからおすすめされたものの中から良さそうなものを3冊ほど借りると寮へ帰った
早速借りたものを読もうと部屋へ入り机に座ったところで図書室でのレイとの会話を思い出す
そういえば、キスマークがなんなのか侍女に聞いてみたらと言われていた
私はドアの近くに黙って立っているサリーに声をかける
「ねえサリー」
「どうかされましたか?」
「今日一緒にレイと図書館に行ったでしょう?」
「ええ、そうですね」
「その時に何故かキスマークが知ってるかって聞かれたのだけれど、私は知らないから教えて欲しいと言ったら侍女に聞いたらいいと言われて」
何か知ってる?と聞けばレイと同じように少し困った表情を浮かべ考えるようなそぶりをした後、サリーは口を開いた
「…愛の証拠のようなもの、でしょうか」
「愛の証拠…」
なんだかよくわからないわね、と思っていると微妙な顔をしたサリーが話しかけてくる
「…あの、お嬢様。質問してもよろしいでしょうか」
「ええ、もちろんよ」
「何故そのような話に?」
「私もよくわからないの。本を探していたら突然私のここら辺を見つめながら驚いた後その話を振られて…」
私は左の首元らへんに指を指しながら話すと、サリーへ私へ近づいてそこを見つめる
なるほど、という呟きが聞こえたので何かあったのか聴くと呆れたような声で答えてくれる
「左の首元に付いているのです」
「何がかしら?」
「その、キスマークというものですよ」
「…え」
驚いて見てみようとするが鏡なしでは見えるわけもなく、私は鏡の前へ移動するとその部分を見てみる
するとレイに言われた通り左の首元が赤くなっていた
「これはいつのまにか浮かんでくるものなの?」
「いいえ、他人からの接吻されることで付きます」
「せ、せっぷ…」
かあっと自分の顔が紅くなっていくのがわかる
キスマークとはなかなかレベルが高いものらしい
「え、でもいつされたのかしら⁉︎」
「さあ…ああ、そういえばお嬢様、先日王宮で殿下に連れられた後どこへ行かれたのですか?」
「殿下に連れられた後?…あぁ、あの時ね。あの時は王城の…」
王城の中にある知らない一室に連れていかれたわね、と言おうとして昨日の出来事を思い出し心臓の音が早まるのがわかる
昨日の一連の流れを思い出して心の中で1人焦っていると一つ気になることがあった
ーーそういえば殿下が首元にお顔を埋めてきた時、何かチクリとしたような…
その時、もしかしてあの時にキスマークをつけていたのではないかと気づく
でも、接吻でチクリと痛んだりするものなのかしらと疑問に思いサリーに聞いてみることにした
「サリー。せ、接吻するときは痛んだりしないわよね?」
「そうですね。でも、キスマークをつけるときは少しチクリと痛みます」
そう言われてまた顔に熱が集まるのを感じる
心なしかそのキスマークを付けられた場所にも熱が集まってくるような感覚がする
「でも、キスマークって愛の証拠のようなものなのよね?」
「ええ、そうですね」
「え、え?でも殿下は…え?」
殿下の想い人はリアトリスだから勘違いかもしれない。違う意味を込めて付けたのかもしれない。ただの勘違いかもしれない。
などと考え慌てていたので、サリーの「確信犯ですね殿下。これは旦那様に報告した方が良さそう」という呟きは聴こえていなかった
読んでくださり、ありがとうございます‼︎
息抜きにアルファポリスにも更新し始めて追いつかれないように2日に一回したんですけどすぐ追いつかれそうですね。