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突然思いついた作品です。更新は遅くなるかと。

 夢を見た


 知らない場所だけど、何故か既視感がある部屋。その部屋のベッドの上に転がり、機械を眺めてニヤニヤしている少女。


「これは自分だ。」と根拠はないが、確信を持って思った。


 その機械の画面には見覚えのある見麗しい男たちと、肩で切り揃えた金の髪にピンクの瞳を持った、これまた見覚えのある少女。そして闇を連想させるような黒い髪と瞳を持つ少女が映っていた。


 ――ああ、そうだ。これは物語。


 男爵家のとても強い魔力をもった少女が主人公。その子が学園に入ったところから物語は始まり、様々な見目麗しい男たちと恋愛をする物語だ。


 でも、私はその物語の全てを覚えていない。数人の男たちとの話は覚えているのに、それ以外の人たちとの話は覚えていないのだ


 ――いや、違う。覚えてないのではない。知らないのだ。


 私は、その人たちとの話を、知らない。知る前に私は、死んだのだ。


 では、あの娘は?黒の髪と瞳のあの娘は、何故あそこにいたの?


 ――そうだ、あの娘は主人公をいじめるんだ。


 自分の身分が高いのをいいことに、自分の婚約者の心を奪われ、いじめるのだ。


 ――じゃあ、最後は?最後はあの娘はどうなる?




『エミリア=ヴァンガー、貴方はこのリアトリス=アルテストをいじめるだけでなく、死の危険のある行為までも行ったため、婚約を破棄させていただく‼︎証拠もすでに揃っている、言い逃れはできない』


『し、しかしジーク様‼︎この娘は婚約者のいる男性にあまり近づいてはいけないと知りながら話していたのですよ⁉︎私は貴方の婚約者として当然のことをしたまでですわ‼︎』


『ああ、それはそうだろうね。だが、リアトリスには相談にのってもらっていただけ。お前はやりすぎたのだ、エミリア嬢。口で注意するまでなら特に問題はなかった。だが、彼女の持ち物を盗み許可もなく捨てる。階段から突き落とす。しまいには、暗殺未遂だ。まあ失敗に終わったが、十分罪に問われるものだ』


『そ…んな…』


『昔から一緒にいた婚約者だから庇っていたが、ここまでくると私もどうにもできない。それに、罪人を妻に迎えるのは…王子妃に迎えることは、できないんだ』


『嘘…嘘よ嘘よ嘘よ‼︎ありえないわ‼︎私は貴方を愛しているわ‼︎私は何も悪くない‼︎私の愛する人を、ジーク様を奪っていったあの娘が悪いんじゃない‼︎』


『すまない、エミリア。君の気持ちには応えられないし、こればっかりはどうにもならないんだ。…今、この時をもって私、ジーク=ヴィクラムとエミリア=ヴァンガーの婚約を破棄する‼︎そして、エミリア=ヴァンガーには…』


 ――自業自得ね。たしかに婚約者のいる貴族や王族に近づきすぎた彼女も悪いかもしれない。でも、殺そうとしただなんて、立派な犯罪だわ。当たり前の結果。だから、あの娘は…私は、ジーク様の心を手に入れられなかったのね。









 目を開けると、見慣れたシンプルなのに豪華とわかる高い天井が目に入る。私はムクリと身体を起こした


「おはようございます、お嬢様。…大丈夫でございますか?涙を流されて…嫌な夢でも見られましたか?」


 ベッドの左隣には私の侍女のサリーが立っていた。『涙を流されて』と聞いて、目を自分の指で触れて確かめてみると、濡れていた。


「おはよう、大丈夫よ。多分、その通りじゃないかしら。夢だからあまり覚えていないのだけれど」


「左様ですか…何かあれば言ってくださりませ。私はお嬢様の味方です」


 キュッと私の手を包むようにして握ってくれる。それが温かくて、ホッと息を吐いた


「ありがとう、サリー。…では早速お願いしてもいいかしら。あまり食欲がないから朝食を抜きたいの」


「承知しました。旦那様に伝えておきますね」


「ありがとう」


 サリーが部屋から出て行くのを確認すると、私はボフッとベッドに倒れ、夢のことを思い出していた



 ――きっとあれは私、なのよね。思い出せるのは、あの“ゲームをしている私”と、そのあと死んでしまったということだけ。

 夢の最後に見たのは、ジーク様ルートの、私の、断罪と婚約破棄シーン。

 私、好きな人の心を奪われて、婚約破棄されて、最後に…死んでしまうのね。


 でも、もし、本当に私がその道を歩んでしまうというのなら、死んでしまってもいい。

 好きな人に振られて、その人は別の私じゃない女と微笑み合っている世界――そんな世界、ただただ苦しいだけ。生きていたって仕方がない。


 あの時の“私”は“エミリア=ヴァンガー”は、王子の見た目と地位にしか興味が無くて、本気じゃないと思っていた。

 でも、“私”になったからわかる。

 確かにきっかけはジーク様の、金色に煌めく髪、澄んだ青空のような青の瞳に整った容姿をもった『本物の王子様』に恋をしただけだった。

 しかしそれは何年も経ち、愛情に変わっていった。


 ジーク様がいたから頑張った。頑張れた。

 何も面白くもない勉学も、苦手な作法も、楽しめないダンスも。全てはジーク様の婚約者だったから。隣に立つためだったから。


 ジーク様のいない世界なんて、いらない。隣にいない世界に生きたって、意味がない。


 ――なら、今の私は?今の私は何のために生きているというのだろう


 ジーク様は主人公を愛するのに。私を棄てると知っているのに。

 今更諦めるなんて、できない。

 もう、こんなにも、愛してしまっているのだから。


 ――ならば、ならばせめて。

 と願う。


 せめて、あの人が笑顔で生きれるように、幸せになってくれるように。


 彼があの娘を愛するというのなら、私は愛するあの人の手助けをしよう。あの人が、笑ってくれるように手を尽くそう。あの人が笑ってくれるのなら、それでいいのかもしれない。私に生きる意味がないというのならば、あの人の幸せのために、生きる意味を作ろう。


 だから、それまで、それまででいいから




 ――私を、あの人の隣で歩かせて。

読んでくださり、ありがとうございます‼︎


今ほかに書いてるやつが連載終わらしてないのにほかの作品書くっていう…すみません。

でも本当に突然思いついて書きたいなぁ‼︎って思って書いてしまったんですよね。。


あとも1つの作品もこれもヒーローが王子なのは作者の好みです、すみません


やはり文章力と語彙力は壊滅的ですが、楽しんでいただけたら幸いです

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