どうやら、召喚されたようです。
私は、伯父夫婦に引き取られることになったらしい。
伯父さんの奥さんである、恵里子さんは私の母にコンプレックスを持っていたようで、よく私に対して嫌味を言ってくる。
「万里子はできるのに、あなたはできないの?」とか、「万里子は分かるのに、あなたはそんなことも分からないの?」なんてことばっかりだ。
その万里子はというと、取り巻きたちと私を転ばせている。それで「なんて鈍くさいのかしら」なんて、言ってくる。おかげで、私の足は傷だらけだ。
そんな毎日が2ヶ月ほど続いたある日、また私は万里子に体育館裏で転ばされていた。
両親が亡くなってからある程度たち、この首にかかっているロケットペンダントもあるおかげで私はだいぶいつもの調子を取り戻し始めていた。でも、この毎日は変わらない。
「あら、また転んでいるの?あなたは足が弱いのね」
嗤う万里子を横目に私は立ち上がろうとした。
そのとき、地面が光った。まるで魔方陣のように。
「ちょっと!何よこれ!雪華!早く私を助けなさいよ!」
叫ぶ万里子と恐怖に固まる私を魔方陣のようなものは呑み込んでいく。頭まで呑み込まれると私の意識はプツンと途切れた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞
目を覚ますとそこは、金に光る装飾品がところ狭しと飾られている学校の体育館程あろうかという大きな部屋だった。
そこには、王様や王子様、王女様らしき人たちとその他大勢の人がいた。
私が目を見開いていると、隣で倒れていた万里子も目を覚ましたようだ。すると、玉座に座る王様らしき人に話しかけられた。
「この国を平和に導いてくれる神子はどちらだ?」
最初、何を言われているか分からなかった。
「はい!私がこの国を平和に導く神子です!」
王様の隣に座っている王子様に目が釘付けになっている万里子が先に声を上げた。大方、その神子とやらだと言っておけば王子様が惚れると思っているのだろう。
私は、何も言わなかった。それよりも、両親のお墓があるあの町へと帰りたかった。
そのために、状況を理解しようと脳みそをフル回転させていると聞き捨てならない言葉が聞こえた。
そちらを振り替えると、王子様たちに言いつけている万里子の姿が見えた。
「あの女が私をいつもいじめてくるんです!私に足を引っかけて転ばせたり、水をかけてきたりするんです!」
…………それは万里子が私にいつもやっていることじゃないか。それよりも、窓から見えた外の風景を見る限り、もはや地球でもないのかもしれない。
「あの女が僕の可愛い万里子をいじめているだと?許せない!万里子、あの女を下働きにしてこきつかってやれ!」
私が思考に耽っている間に、色々と決定してしまったようだ。何故か私が神子(万里子)のためにお城で下働きをするらしい。王様も王妃様も異論はないようだ。
とりあえず私は、下働きの女たちが暮らす部屋へと騎士に連行されていった。