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信じていいの…?
ツグミが不安を感じたその時、フィースはツグミから離れ、おもむろに足を振り上げた。
“何かいるっ!?”
ツグミはフィースの向こう側の影に気づいた。フィースは迷いもなく、その影に蹴りをいれた。
「逃げるぞツグミ!」
「えっ……え?」
フィースがツグミを引っ張って走り出したとき、ツグミは、倒れてのびているオオカミを一瞬だけ見た。
「このへんまでくれば、とりあえずはいいだろう。」
「さっきもこんなことあったような……」
「逃げてばっかりだな。」
ははっと軽やかにフィースは笑った。
「フィース、軽いよ。」
「旅するってのは、こういうことだって。」
「……さっきの、全然気づかなかった。助けてくれてありがと。」
「任せろ。大丈夫だよ、俺、強いから。」
笑うフィースを見たツグミは不安に思っていたことがバカらしくなった。
「…ところで、フィースが旅してる目的は何なの?」