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2話
「体調悪いとか?」
「可哀想に、1人ぼっちで苦しんでるのかな?…電話してみる?」
そうは言っても、むつはずるずると麺をすすっている。颯介が仕方なさそうに、デスクの固定電話を取った。一応は、電話するんだ、とむつは思った。
スピーカーにしてむつにも聞こえるようにしたが、コール音が響くだけだった。携帯の充電が切れてるわけではなさそうだが出そうな気配もない。そのうちに、留守番電話に切り替わった。
「出ないな」
「もー何してんだか、ばかちんが…それはそうと、管狐も最近見てないけど元気にしてるの?」
「あーまぁね」
むつが言うと、颯介の襟元がもそもそと動いた。呼ばれたと思ったのか、つぶらな瞳をした、蛇のように細長い狐が顔を出した。
「京井さんの時に喧嘩しちゃってね、滅多に顔を出してくれなくなったんだよ」
「あらまぁ…まだ拗ねてるのね」
箸で麺を器用に1本つまんで、管狐に見せるようにゆらゆらさせた。
「餌付けしないで欲しいなぁ」
「だーって、あたしにまで顔見せてくれないんだもん。寂しい」




