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2話
むつは、盆にマグカップ2つとカップラーメンに乗せてデスクに戻ってきた。だが、自分の席に座らずに颯介の隣の祐斗の席に座った。
「それ…祐斗君の」
「うん、そのうち返しとくから大丈夫…それより、社長どうしたんだろ?」
颯介にマグカップを渡し、むつはカップラーメンの蓋を開けた。味噌バターコーンのカップラーメンの良い香りに腹が、くるくると鳴った。
「さぁ?連絡ない…ってより、あの人から連絡あった事ってあった?」
「ない。こっちから連絡して返事あるかどうかくらいで、自ら人に連絡しないよね。何してんだろ」
割り箸を割って、麺をほぐすとふぅふぅしながらすすった。たまに食べるカップラーメンに加え空腹だったせいか、とてつもなく美味しく思えた。
「何かあった、のかな?あの人に起きる何かって何だろ」
「んー?分かんない…仕事受けてたりするのかな?」
コーンを器用につまんで、口に入れつつも、むつは然り気無く言ってみた。だが、颯介はすぐに首を横に振った。
「仕事受ける事ってあると思う?」
「あたしが知ってる限りは…ない。受けても、こっちに行かせるからね」