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2話
むつは携帯の着信音がけたたましく鳴り続けているので、ようやく目が覚めた。
「あい…」
『むっちゃん?もしかして…寝起き?』
電話の相手は颯介だった。
「はい…今、起きました。ごめーん寝坊したぁ」
電話越しに颯介が、呆れたように笑っているのが聞こえてきた。むつは、寝返りを打ちながら、起きなきゃと思ったが、動きたくなかった。
『寝坊なら、良いよ。来てないなんて、珍しいから何かあったのかと思ったよ』
「うぅ、ごめん。…あと、今日行く所があるからそっち顔出すの昼過ぎると思う」
『分かったよ。なら、寝坊打ってないで早くベッドから出るんだよ』
何でバレてるんだろうと思いつつ、むつは返事をして電話を切った。
同じく寝るのが遅かったはずの、冬四郎と西原も勤務しているはずだと思うと、いつまでもベッドに居るわけにもいかない。
洗面所で顔を洗い、冷蔵庫に入れてある冷たい炭酸水のペットボトルを出した。それを飲みながら、さっと化粧をして服を着て、鞄の中身を確認しようとして、ビニール袋に気付いた。
ビニール袋の中身を出すと、ほのかに紅茶の良い香りがした。だが、それを良いとは思えなかった。紅茶まみれの晃のシャツを風呂場に持っていき、洗面器に水を入れて、漂白剤と共につけた。
とりあえず、これで良いかと思いバイクの鍵を持って部屋を出た。




