80/410
2話
むつはマンションまで送って貰うと、冬四郎に泊まっていかないかと言った。時間もかなり遅い。これから帰るとなると、寝る時間はないだろうから、と。
冬四郎はしばらく悩んだのち、欠伸をしながらも帰ると言った。むつは引き留めはせず、そっか、着いたらメールしてと言い冬四郎を見送った。
部屋に戻ったむつは、化粧を落とす事もなくベッドに倒れこんだ。そして、布団に潜る前に、服を脱いで床に落とした。鞄の中の晃のシャツの事など、すっかりと忘れている。
もうすでに明け方といっても言い時間だ。むつは、携帯に手を伸ばし冬四郎は寝ないで仕事かな、と少し心配になった。冬四郎に着いたらメールするよう言った以上は、まだ眠るわけにはいかない。
横になったものの、のろのろと起き上がり、服を洗濯機に入れて、化粧を落として風呂に入った。
冬四郎からメールが届いたのは、空が明るくなり始めていたころだった。むつは、返事を返し少しだけのつもりで目を閉じた。