2話
「見たら分かるんですか?」
「いえ、分かりません。本人にしか分からない事のようでして…結局、何故怪異があると思っているのかも、わたしには分かりませんでしたし」
悩むようにむつは黙った。篠田も結局の所は、何も知らないに等しかった。
2人が黙ってしまうと、前に座っていた冬四郎と西原もどうしたものかと顔を見合わせた。
「とりあえず、帰りましょうか。西原君もむつも明日は仕事でしょうし…篠田さんはホテルどこですか?」
「あ、そうだね。宮前君も仕事あるのに遅くまで付き合わせてたら悪いし。ホテルは…」
「じゃあ…篠田さんから送りますね」
冬四郎は車のエンジンをかけて、ゆっくりと走らせた。
「いや、むつさんからの方が良いんじゃないのかな?女の子だし、あんまり夜遅いのは…十分遅くさせちゃいましたし」
自分を心配して話題にあげられているにも関わらず、むつは腕組みをしたままどこからを見つめ、悩んでいるようだった。
先程までの心地良い酔いは、あっという間にどこかに行ってしまった。
「足りなかったかなぁ…」
「な、何がですか?」
むつのぼそっとした呟きは篠田にだけ、聞こえたようだった。顔を上げて篠田の方を見たむつは、ふふっと笑った。
「先輩お酒足りなかったよーっ‼もぅ‼」
「そんな…えーっ。今度ゆっくり呑もうな、な?今日は無理だろ、明日起きれなくなる」