2話
30分ほどし、篠田からの電話を受けむつと西原は冬四郎の車に乗り込んだ。
「どーゆー事ですか?」
「どういう事って言うのは…どうなんでしょうね。西原君もどういう事ですか?」
運転席に冬四郎、助手席に西原、後部座席にむつと篠田が座っている。
むつのやけくそ気味な声を聞き、篠田はその矛先に西原に向けた。篠田の言う、どういう事とは、むつを送り届けるとって出たはずが日付が変わっても尚、一緒に居た事に対してだ。
西原は、困ったように言い訳を探したが見付からず、すみませんとだけ言った。
「篠田さん」
篠田がはぐらかそうと、西原に矛先を向けたのが気に入らないのか、むつの声は低い。
「むつ、そんなにイライラするな」
冬四郎が宥めようとしたが、逆効果だったのか、むつは舌打ちをした。
「篠田さんは警視正から聞いてたんじゃないんですかー?細々と、沼井さんの事。ある程度は調べてないと、わざわざ怪異専門に頼めないですよねー?」
嫌味のように言い、むつは八つ当たりのように運転席を爪先でこつこつ蹴っている。
むつが言った事が当たっているのか、篠田はばつが悪そうに黙っている。
「あーぁ、篠田さんも警視正殿も人が悪いですねぇ。もーなんなんですか?むつもキレますよ?こさめに言い付けますよ?」
「ちょちょ、待ってください。こさめには内緒にしといてください。最近、強いんですから、本当に」




