2話
肩を並べて夜景を見ながら、ゆっくり呑む。もう晃からの話の事には一切触れず、どうでも良いような話ばかりが続いていた。
むつも西原も靴を脱ぎ、ソファーに足を乗せて座っていた。2人とも背もたれに肩をつけて、向かい合うようにし笑い合い、心地の良い酔いを感じていた。
だが、テーブルに置いてあった携帯が震動すると、2人ともぱっとそれを手に取った。
「はい、玉奥です」
「はい、西原です」
どっちかの携帯が鳴っていただけだと思っていた2人は、出てから顔を見合わせた。
『むつさん、やっと出た…篠田です。先程は大変失礼しました』
『お、出てくれて良かった。宮前です、さっきはお疲れ様』
携帯を耳にあてたまま、西原はむつに通話相手が冬四郎である事を伝えた。むつは嫌そうな顔をして、こっちは篠田である事を伝えた。
「いえいえ、こちらこそ…先に帰ってしまって、篠田さんにも警視正にも失礼な事をしてしまって、申し訳ありません」
「お疲れ様です。何かあったんですか?」
『そんな事はお気になさらないでください。警視正も失礼な事を、わざとと言えど言い過ぎたとおっしゃってましたし。それで、言い忘れたのが…気まずくて顔を出せないんじゃなく、沼井さん入院してるんです』
「いや、あの後少し聞いたんだけどな…沼井さん入院してるらしいんだ」




