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2話
「俺は反対だな。沼井からの仕事って事だろ?…けど、山上さんが何の為にこそこそ沼井婦人と会ってるのかは気になるな」
「うん…仕事の依頼があったのかな?」
「可能性はあるよな。あと…あんな事があった後だろ?よく知ってる人に相談したかったのかもしれないな」
西原は並々入ったサングリアのグラスをテーブルに置いたまま、ずずっと呑んだ。そして、動かしても溢さない量にしてからグラスを持った。
「かなぁ?けど、退職に追い込んだ側の人間を使ってる人に相談する?」
「しないな。でも、それを知ってるとは限らないからな。報道されたわけじゃないし、沼井が言ってないかもしれない。知ったうえで、密会してんなら普通に山上さんの身の危険を感じるな」
タバコの箱を掴み、吸おうとした西原だったが、むつが頬杖をついてぼんやりしてるのに気付くと、言ってはいけない事を言ったかな、と不安になった。
むつが何かを言い出すのを西原は、じっと待っていた。むつはサングリアを呑むと、長い溜め息をついて鞄からタバコを出した。くわえて火をつけると、細く煙を吐き出した。




