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2話
今日に限って呑むペースの早いむつに煽られ、西原も大ジョッキを2杯も空けた。
「ビール飽きた。次、何にする?」
むつはかき揚げを半分にし塩を少しつけて、頬張るとドリンクメニューを西原の方に向けた。
「サングリアとか一緒にどう?」
「ふん?良いよ」
西原はサングリアの赤とフードの追加を何品かした。ほんのり、むつの頬が赤い。やはり、最初のペースが早かったようだ。
サングリアが来るとむつは、グラスに注いだ。
「あら、並々入っちゃったや」
あははーっと楽しそうに笑うむつを見て、西原は困ったように笑うしかなかった。むつはもうほぼ、酔っているようだ。
「並々入れたの誰だよ」
「まぁまぁ、はい。呑んだら減るし」
並々入ったグラスをむつが、滑らすようにして西原の方に押しやった。
「それよりさ…どう思った?あの話」
へらへらと笑っていたむつが、すっと真顔になった。最初からその話がしたかったから、ピッチ早めに呑んでいたのか、と西原は思ったりした。