65/410
2話
むつと西原は電車に乗って移動しながら、楽しく会話をしていた。少々呑んだ帰りのサラリーマンが多いのか、車内にはアルコールの匂いがしていた。
会話が途切れドアに寄り掛かるように立ち、むつは窓の外を眺めていた。すると西原と窓越しに目があった。
「気になる?」
振り向いたむつは西原に聞くと、西原は困ったように笑みを浮かべただけだった。
「そりゃあ…な」
だが、それだけ言うと西原は口を閉じた。むつもそれ以上は何も言わなかった。
「次で降りるか。この辺大学以来てなかったし、たまには良くないか?」
「そうだね。あたしは月1くらいで来てるけどね」
「誰とだ?」
「女子寮に子らと集まる時、この辺よ」
2人は次の駅で降りて、食事をするといつよりも呑むをメインに店選びをした。だが、2人の絶対条件の個室の店は待ちがある所が多く、結局むつの行った事のある店に腰を落ち着けた。




