2話
京井が出ていくと、再び5人は座った。知らん顔のむつは、シロップは入れずにアイスティーを飲んでいた。
「お、今度はシロップ抜き?」
「ベタベタするって言われるから」
「玉奥さん、またかけるつもりですか?」
むつは首を傾げた。
「ま、そんな事より…わたしもここに居る4人も山上さんが不倫してるなんて思ってませんよ。ただ、婦人と山上さんは昔付き合ってましたし、不安に思ったんでしょうね。本当に山上さんと婦人が密会なさってるようですから」
「はーっ?」
「本当ですかっ‼」
紅茶を口に含んだまま、むつは何度も瞬きをした。意外な事を聞いてしまった。
「で、沼井さんがこちらにいらっしゃらないのは、何でなんですか?」
「顔を合わせにくいから、だろ」
むつの問いには、しれっと冬四郎が答えた。むつは、しばらく考えるようにしていたが、思い当たる事をようやく思い出したようだ。
「それなのに、頼むって事は余程…婦人の様子がおかしいんでしょうか」
「そういう事でしょうね。怪異の専門の方にどうしても願いたかったんでしょうね」
アイスティーのグラスを持ち、飲む様子も見せずにストローでからからとかき混ぜているだけだった。
「何か…あると思ってるんですね、沼井さんは。ま、そーゆー物を間近で見てた方ですし」
「それで、玉奥さん…以下がですか?」




