57/410
2話
渋い顔をしたむつは、シロップを足してからからとストローでかき混ぜた。
「あの、まぁ何でも良いですし。確かに、何でも屋みたいな仕事ですが…うちの山上が不倫してるとでも沼井さんは思ってるんでしょうか?」
「そういう事でしょうね。最近、山上さん出社されてませんよね?」
監視でもされてたのかと思い、むつは不愉快に思ったが、それをそのまま顔に出すのだけは堪えた。
「ご婦人と毎日のように一緒にいらっしゃるようなんですよね。沼井さんの話では、ですが」
むつがじっと黙って聞いているのを、冬四郎と西原、篠田までが心配げにちらちらと見ている。
「なので、不倫調査とご婦人のハマってる宗教というのを調べて来て頂けますか?」
「宗教の方は突き止めるだけで良いんですね?」
「えぇ。…と、妖しい物がないかどうかも調べて頂けたらと思います。不倫の方は…証拠になるような写真なんかも入手して頂けたら有り難いですね」
晃は悪気もないのか、さらっとそう言った。晃が不倫、不倫と言うたびにむつの顔から表情と血の気で引いていく。