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2話
篠田はドアスコープで相手を確認してから開けた。入ってきたのは京井で飲み物と、ベリーソースの添えられたシフォンケーキを置くとすぐに出ていった。
閉められたドアで京井の背中が見えなくなると、むつはふぅん?と言うと晃の方を見た。
「念のいった事ですね」
「何の事ですか?」
篠田がソファーに座りながら、困ったような笑みを浮かべていた。
「京井さんなら安全だと判断して、レストランの予約したり飲み物運ばせたりと…もしかして、この階で見張りみたいな事までさせてたりして?違いますか?」
ぴくっと篠田の口の端が痙攣するように動くのを、見逃さなかった。それは、むつだけではなく冬四郎と西原もだったようだ。
「成る程…余程、人に聞かれたくない話なんですね。京井さんなら、むつと知り合いで何かを聞いた、知ったとしても口が固いと…」
冬四郎が引き継ぐように言った。何か含みのあるような言い方だった。
「そういう事です。篠田君にこの部屋の盗聴がないかも確認して貰ってますから」
晃が、うんうんと頷いた。




