2話
「度々、お呼び立てして大変申し訳ありません…今夜は少し、話を聞いて頂きたく、お呼び立て致しました…あ、その前に篠田君。皆さんにお飲み物を」
篠田はルームサービス用のメニューを開いて、テーブルに置いた。
「お好きな物を選んでくださいね」
そうは言われても、まぁ良い値段のするものばかりだった。西原とむつは困ると、冬四郎を見た。
「ご厚意に甘えて好きな物を選ばせて貰いなさい。わたしはブレンドで」
「なら、あたしはアイスティー」
「え、っと…じゃあブレンドで」
冬四郎、むつ、西原の順に言うと篠田は頷いた。そして、晃もアイスティーをと言うと篠田がフロントに電話をして頼んでくれた。
「篠田君ありがとう。では、そうですね。どこからどう話すべきか…単刀直入に言うと、沼井さんからの相談を玉奥さんにお願いしたいんです」
その言葉を聞き、顔色ひとつ変えなかったのは篠田だけだった。だが、明らかに良い顔はしていない。
「それなら、わたしと西原君が呼ばれる必要はなかったのではありませんか?」
物怖じしないのか、冬四郎がきっぱりと言うと、晃はゆるゆると首を振った。
「いえ、そうですね。確かに関係ないかもしれまんね…ですが、ここに居られる4人は沼井さんも山上さんの事もご存知のはずです」