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2話
突き当たりにあるドアを篠田がノックすると、ややあってから開いた。冬四郎が顔を出し3人を中に入れた。
「わぁ…すっごーい」
「すげぇ…こんなのテレビでしか見た事ないな」
入ってすぐに広々とした、全面ガラス張りのリビングがあった。夜景を独り占め出来ているような気にさえなる光景に、むつと西原は興奮してるのか、口々に凄い、凄い、と言っていた。
「お前たち、遊びに来たんじゃないぞ」
冬四郎の呆れたような声に、むつと西原は黙った。だが、興味は窓の外の夜景に向いている。
「警視正は?」
「あちらの書斎に」
篠田が奥にある書斎に向かっていった。警視正が居ると知り、西原は表情を引き締めたが、むつは特にそうする事もなく窓に近付いて夜景を眺めている。
篠田と共に晃が出てくると、冬四郎と西原が頭を下げた。後からむつも頭を下げた。
「どうぞ、お掛け下さい。玉奥さんも、こちらにいらして頂けますか?」
仕事用の兄の声に、むつは頷くと西原の隣に座った。ソファーも柔らかく、尻が深く沈みこんだ。




