2話
むつが部屋に引っ込むと、晃はテレビをつけた。特に見る気はしなかったが、適当なバラエティー番組にチャンネルを合わせた。
「なぁ…むつは、そんなにそのよろず屋の人達を信用してるのか?」
「あの様子じゃそうだろ。自分の考え方が浅いせいで疑ったのも悪いと思ってるんだろうけどな」
立ち上がった冬四郎は、グラスに氷を入れ焼酎の瓶と灰皿を持って戻ってきた。
「変わるもんだな。前はそんなに人付き合いするようには見えなかったのに。表情もころころ変わるし、すぐ泣きそうになるし。無鉄砲さは変わらずって感じだけど」
「ま、むつなりに色々経験した証拠だよ。…けど、悲しくて泣く事ってないだろ?良い意味の泣き虫だな。無鉄砲さは…直らないよ。スカートはくだけマシ」
冬四郎はそう言い、グラスに焼酎を注いだ。
「むつは隠し事するくせに、隠し事されんのは、嫌なんだな」
「そりゃ、大概の人がそうでしょ?」
「お前も嫌か?」
グラスの中の氷を、指先でくるくる回しながら晃が言うと、冬四郎は少し意外そうな顔をした。
「職業柄、仕方ないと思う事もある。兄さんが隠す理由が分からないけど。俺なりの考えは、むつを巻き込みたくないなのか、面倒事を持ち込んだ誰かさんを言うと他にも迷惑になるから、か…」
「うーん、どっちもだな。まぁ仕方ない…他言無用で篠田君を含めて4人に話すか」
「依頼するの?」
「そう、だな。ま、受けるか否かはむつが決めるだろうからな」