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2話
むつが帰宅をすると、玄関には男物の靴が2足もあった。スリッパをはいて部屋に入っていくと、キッチンに冬四郎がリビングのソファーに晃が居た。
「おかえり」
「おかえり。意外と早かったな」
「たっ、ただいま…何してんの?」
とりあえず、むつはキッチンに居る冬四郎の手元を見た。何を作るつもりなのか、人参を乱切りにしていた。
「夕飯の支度を」
「あ、それは…どうも。いちにぃ帰らなくて良かったの?」
鞄も下ろさずにむつは、晃の隣に座った。
「あぁ、明日の朝1でも間に合うからな。今夜も泊まって良いか?」
「それは、勿論…もしかして、しろにぃにメールしたから待っててくれたの?」
「まぁな。朝飯ってより昼だったけど、うまかったよ。わざわざ、ありがとうな」
晃は、むつの頭をぐりぐりと撫でた。むつは嬉しそうに、されるがままになっていた。