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2話
結局、あまりやる気の出なかったむつは、何とか仕事を終わらせた、という感じだった。
「むっちゃん残る?」
「んーん、帰る」
定時には少し早いが颯介は仕事を終えているらしく、つまらなくったのかいそいそと帰る支度をしている。
むつもデスクを片付け、颯介のマグカップも一緒にキッチンに持っていき、ざぶざぶと洗った。その間に、颯介はとじまりの確認をしていた。
「今日はゆっくり休みなよ。昨日は篠田さん相手に疲れただろうしね」
颯介にそう言われ、むつは素直に頷いた。揃ってよろず屋から出て、颯介とむつは駅でわかれた。
むつは地下鉄に乗り、運よく空いていた座席に座った。何だか疲れた気がして、むつはうつ向いて目を閉じた。
最寄り駅に着くとむつは寄り道せずに、真っ直ぐ家に向かって歩いていった。