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8話
晃を見送って車に戻ったむつは、後部座席に西原と並んで座った。そして、よろず屋に送って貰う道すがら、西原と冬四郎にも少し話をしていた。
「なぁ、奥さん生きてんだろ?何でだ?」
「え?あん時にむつが…」
冬四郎は気を使ってか、殺したとは言わずに言葉を濁した。むつは、駅前のコーヒーショップで冬四郎に買って貰ったらココアを飲んでいた。
「うん、焼いちゃったね。けど、あれは人形よ?…まぁ、あたしも後から気付いたんだけどさ。よく考えてみてよ、源太は取り憑くって乗っとるって言ってたくせに、しろーちゃんの姿をしてたんだよ?人形のくせに」
冬四郎はタバコを吸い始めていた。煙が車内に充満しないように、少し窓を開けていた。
「何もしなくても、その人の姿形を真似出来るんだなって思ったし…切ったのに血出なかったよ?本当に取り憑いてるなら、身体は生身の人間じゃなきゃおかしいわけよ」
「あ、そうか…それに、むつの刀じゃ人は切れなかったよな」
「そうそう。ってなればさ、奥さんどっかに居るなって思ったわけよね」




