8話
「西原君。ちょっと…」
西原を手招きして呼んだ晃は、むつの方をちらっと見た。
「血の繋がりはなくてもむつは、可愛い妹だからな。あんまり変な事はしないようにな、寄りを戻すなら反対しないぞ。ま、むつの許可が必要だけどな…けどな、けどな、寝てる間にってのは…なぁ」
「はいっ…申し訳ありません。その…無防備な姿で、つい…」
はぁーっと溜め息をついた晃は、ばちんっと西原を殴った。それを見ていたむつは、心底驚いたようで目を見開いていた。
「ま、良い今回はな。次はないからな…むつ」
西原には怖い顔を向けていた晃だったが、むつには笑みを向けていた。
「あんまり、無理しないようにな。冬四郎もかなり心配してるみたいだからな…」
「はーい」
分かってるのか否か、元気に返事をしたむつは、ふふっと笑ったがすぐに表情を曇らせた。
「どうした?」
「んー?また、しばらく会えないのかなって思ったら…ちょっと寂しい。遊びに行っても良い?」
「何だ?実家にも帰って来なかったようなやつが、そんな事を言い出すなんて」
「それは…まぁ、そうだけど」
首を傾げているむつを晃は軽々と抱き上げた。そして、額をぐりぐりと押し付け合っていた。
「いつでも、おいで。でも連絡はくれよ?」
「はーい…って、あっ‼思い出したシャツ‼干しっぱなしだ。ごめんなさい」
「いいよ、部屋着にでもして使え」