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8話
「源太、ごめん…首つけてあげて」
箱と金の包まれた布を源太に渡すと、むつは箱の中の人形に向かって、ごめんねと詫びた。箱の中の人形は、こんこんっと箱を叩いて返事をした。
「むつ」
後から出てきた晃が説明を求めるような顔をしていた。それは、冬四郎と西原も同じだった。
「ま、後でね。それより、あと2体あるけど…どうしますかね、警視正殿」
きっしっしっし、と嫌な笑い方をするむつを見て、晃はちょっと待てと言って急ぎ足に歩いていった。
「なぁ、むつこれ貰って良いのか?」
「うん、沼井からの治療費と木戸銭だと思ったら良いんじゃないかな?」
「たっかいなぁ」
源太は笑うと、すぐにポケットに包みを突っ込んだ。