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8話
警備の行き届いた病室の前まで来ると、冬四郎は晃に箱を渡した。むつが不安そうに振り向いたが、冬四郎は知らん顔していた。晃に促されたむつが部屋に入っていくと、冬四郎と西原と源太は廊下で待っていた。片方は見た目だけだが、冬四郎2人に挟まれて経っている西原は落ち着かなかった。
病室に入ってきたむつと晃君見て、横になっていた沼井はゆっくり起き上がった。
「もう解決か?早いな」
態度の大きさと感じの悪さは、相変わらずだったが、少しやつれたようにも見えた。むつは、無視して晃から箱を受け取ると中身を掴んで引きずり出した。
そして、ぽんっとベッドの上に投げた。
「何だこれは?」
沼井が持ち上げようとすると、人形はかしゃんっと鳴って独りでに立ち上がった。驚く沼井を他所に、むつは人形の頭を撫でた。
「陀羅助です」




