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8話
冬四郎の車の助手席には悠々とむつが座り、後部座席には晃、源太、西原が乗っていた。後ろのぎゅうぎゅうに詰まってる様子を見て、むつは密かに笑っていた。
「むさ苦しい…」
源太が呟くと、西原も頷いた。
むつはまだ眠いのか、横になるように座ってうとうとしていた。冬四郎は、ブレーキを踏むときにむつがぐらぐらしないように、気を付けていた。
冬四郎の運転で、やってきたのは病院だった。冬四郎と源太はトランクから、箱に入った物を3つ取り出した。むつが手伝おうとしたが、冬四郎が断った。
大きな病院の受付で、むつは服を引っ張って不満そうな顔だった。
「せめて、スーツも持ってきて貰ったら良かったな…これじゃ、格好つかないや」
「部屋着だもんな」
西原も病院の規模の大きさに驚いているのか、むつの気持ちがよく分かるようだった。




