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2話
「ただいま…っと、むっちゃん?」
「はい。起きてます」
むつは机に突っ伏したまま、片手をひらひらと振っていた。昼休憩から戻ってきた颯介は、傾げていた。
「今度はどうしたの?」
「充電切れ」
「お昼食べたのに?」
「うーん…ご飯食べたのにね。やる気が全然出なくて困ってるのよ」
「ま、ゆっくりしてたら良いんじゃないかな?仕事終わってるんでしょ?」
「昨日のは少しある」
颯介はむつのデスクに寄るとマグカップを持ち、キッチンに入っていった。そして、熱いくらいのコーヒーをいれて戻ってきた。
「ありがと」
自分の席には戻らず、颯介はむつのデスクに寄り掛かるようにして立っていた。そして、むつの頭をくしゃっと撫でた。颯介がそんな事するなんて珍しい。むつは驚いたように顔を上げ、颯介をまじまじと見た。
颯介は何も言わずに、にっこりと笑っていた。そして、自分のマグカップを持って席に座った。
むつは熱いコーヒーをすすると、やる気はないが、やる事しないとと思いパソコンと向き合った。