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8話
「ちょっと、やり残した事があるから先に出るね…沼井さんの方はどうします?今から他の方の所に行きますが…」
「そう、ねぇ…あのまんまでも良いかしら。って言ったら困るわよね?お仕事ですものね」
かずえが楽しそうにすくすくと笑った。
「えぇ、まぁ…では、ご主人の方にもこれから伺って参りますので。社長、悪いけど1人で帰ってね。それから、絶対にオフィスに顔出して、全員揃うまで帰っちゃダメだからね。颯介さんと祐斗からの小言を聞いて貰わないと」
むつは腰に手を当てて、ふんぞり返るようにして言った。山上は、少し笑っただけだった。だが、むつはそれが気に入らなかったのか、きりりと眉を吊り上げた。
「返事は?」
「あ、うん…はい。分かったよ」
「よし。じゃあ、また後でね。こずえさん、お時間の許す限りはごゆっくりなさってくださいね…ま、病院ですけど」
「ありがとうございます。後日、オフィスの方にも改めてご挨拶に伺わせて頂きますね」
「えぇ、お待ちしてます」
むつは、ひらひらと手を振ると病室から出た。そして、受付で藤原を呼んで貰うと訳を話して先に出る事を話した。




