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2話
むつはお会計を済ませ、外に出た。いつの間にか、暗くなってきている。天気良いと思っていたが、今日は雨でも降るのだろうか。どんよりとして、少し寒くなってきていた。
急ぎ足でオフィスに戻ると、交代に颯介が休憩を取りに出ていった。こういう時、万年人手不足の会社は大変だよなと他人事のように思っていた。
食後にとコーヒーを入れて、ついでにキッチンでタバコを吸おうと火をつけた。山上がいつだったか運び込んで来た、折り畳みの椅子を出してそれに座った。換気扇に煙が吸い込まれていくのをぼんやりと見ながら、むつは1人考え事をしていた。
一口しか吸ってないのに、あっという間に長い灰になり床に落ちた。むつは仕方なさそうに、灰皿にタバコを押し付けた。そして、ティッシュを濡らして、落ちた灰を片付けた。
新しくタバコに火をつけ、むつはゆっくりと吸った。考えても何も思い付かないし、そのうち何に対して考えているのか分からなくなってきた。
「よしっ、仕事しよーっと」
誰も居ないが、自分に気合いを入れるつもりで要ってみた。だが、その気合いは、デスクに戻る頃にはなくなっていた。