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7話
「これ以上の長居は無用かな?」
「そうして頂けると、こちらも有り難いですな。壊れた人形たちを尚さないと、明日の演目に差し支える」
「分かりましたよ…けど、そこの人形は壊してから帰りたい」
むつはかずえの方を向いた。
「うちの社長がこれ以上、迷わないように…それから沼井との契約をしている人形は?契約を白紙にさせたいんだけど…っても、これもかずえの仕業かな?」
「これ以上の被害が出ないなら、そちらの言う通りにしますよ」
館長である男は、仕方ないと頷いた。
「おりがと…あと1つ。源太を責めないであげて欲しいんだけど。そっちにとっては悪い事をしたんだろうけど」
「欲張りな方だ」
「そうね…生きてるうちは、あれもこれもと欲が出てくるものさね。より良くしていきたいから、かな」
むつは申し訳なさそうに、首を振った。そして、ちらっと客席の方を見ると、山上が祐斗と共に舞台に上がってきた所だった。




