2話
むつはその日、弁当を作ってきているにも関わらず、昼休憩に鶏いちに出掛けていた。
山上が休みの為、颯介と交代で休憩に入らなければならない。だから、早く戻らなければならない。
「戸井ちゃーん、お茶」
「は?」
「お弁当あるの。だから、お茶とお味噌汁…や、鶏団子あればスープが良いかな?あと、鶏皮餃子」
暖簾をくぐり、そう言うとむつは奥にある座敷に上がった。きちんと靴は揃えて置くあたりが、好き勝手してるなりにちゃんとしている。
「…?どうしたの?会社でお弁当食べたら良いのに」
戸井はお茶をテーブルに置き、不思議そうな顔をしていた。
「ちょっと…ね」
むつが説明をはぐらかすも、戸井は深くは聞かない。厨房に入ると、むつの為にスープと鶏皮餃子を作り始めた。
熱いお茶を飲みながら、むつは携帯を取り出すと冬四郎にメールを打った。暇だったのか返信はすぐにやってきた。そして、暫くすると晃からもメールが来た。冬四郎から連絡があったのだろう
むつはそれをさっと読むと弁当の包みを開けて、どうしたものかと悩みながら箸を持った。だが、戸井に注文をした事を思い出すと、それを待つ事にした。




