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7話
普通であれば、大怪我をするような高さではあったが、下には詰めかけている人形たちがいた。その上に落ちた、山上は怪我などはしていない。だが、痛そうに呻いてはいた。
落ちる直前にするっと山上の腕から逃れたむつだったが、あちこちから伸びてくる人形の手に捕まえられていた。
「むつ‼」
すぐ近くに駆け付けていた西原が、人形の腕を叩き折ると、むつを引き寄せて助けた。
「怪我は?」
「ない、そっちは?」
「ない。けど、宮前さんが囲まれてて危ないんじゃないかと思う」
「そう」
人形が多すぎて、冬四郎がどこに居るのか分からなかったが、むつは素っ気なく返事をしただけだった。
「人形の手を見て。沼井の名前のあるやつを探しだしてくれる?」
「分かった」
「出来たら…しろーちゃんと離れないで。探しにくくなるし」
「…分かったよ」




