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7話
「かずえさん、それを下ろしてくれ」
「どうして?わたしの腕を落としたのよ?だから、彼女の腕も…それに、禿との契約を破ったのよ。禿は身体を手に入れられないままになるのよ、彼も殺したし」
そう言うと、かずえは炭となり残っている物を見た。床には焦げた跡がくっきりと残っている。
顔を上げさせられているむつは、何も思っていないのか、無表情にかずえを見ていた。だが、はぁっと大きく溜め息をついた。そして、刀を顎から外すように顔を振って、にやっと笑った。
「彼を殺したのと、てめぇの腕を落とされたのが気に入らねぇってか?」
かずえは刀を下ろさずにはいたが、むつの言葉を聞き眉間にシワを寄せた。
「社長を利用した理由は2つかな?自身が欲した痛みや人間らしさと、彼に肉体を与えたかった…違う?あんたは、かずえじゃない」
むつの首に剣先を押し付けた。ぐりっと押し付けられ、むつは痛みに呻いたが切れる事も血が流れる事もない。
「あ…」
颯介に腕を掴まれていた祐斗は、ようやくむつの刀では人を切れない事を思い出した。颯介もそれを知っていて、止めたのだ。




