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7話
「いやっ‼聖さんっ‼」
むつが再び刀を振り上げると、かずえは山上の名前を呼びながら、悲鳴のような声をあげた。
舞台に上がれた颯介と祐斗に、支えられるようにして立ち上がった山上は、走り寄ると後ろからむつを羽交い締めにした。
「むつ、頼むから止めてくれ、な?」
むつは何も答えないし、抵抗もしないまま山上に引きずられるようにして、後ろに下がった。だが、刀を手放したりはしなかった。
山上に助けられ安堵したのか、かずえはぼろぼろと大粒の涙を流していた。よろよろと立ち上がったかずえは、むつの側に寄ると刀をむしり取った。そして、剣先をむつの顎の下に添えると上を向かせた。
「ちょっと‼社長、それじゃむつさんが‼」
祐斗が山上に元に駆け寄ろうとしたが、颯介が祐斗の腕を掴んで止めさせた。




