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7話
山上の声を聞き、颯介と祐斗がむつの方を見た。むつが今にも刀をかずえに向かって、振り下ろそうとしていた。
「湯野さん祐斗君、先に」
西原が手を広げて人形を背にして、無理矢理隙間を作った。冬四郎もそれに習って、颯介と祐斗が舞台に上がれるよう道を作った。
颯介と祐斗が舞台に上ろうと、足をかけた時にはむつの刀は振り下ろされ、すっぱりとかずえの肩を切り落としていた。ごとんっと床に落ちた腕をかずえが呆然と見ていた。
切り口からは、血が流れる事もなかった。
床に落ちた腕は、人の温かさを感じさせる滑らかな肌から、つるりとした木に変わった。
山上は、かずえと切り落とされた腕を交互に見比べていた。むつの顔は、背を向けているせいで、分からなかった。




