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7話
にやりとむつが笑うと、ごおごおと音を立てて炎は大きくなった。あっという間に、人形は火に包まれて燃え尽きた。後に残ったのは炭と化した木の残りだった。
かずえがぎょろっとした目で、むつを睨んでいる。かずえは、炭になった人形を足で蹴散らした。
「これで、山上の契約は白紙だね。って言っても元々、山上が契約してたわけじゃないもんねぇ、てめぇだろくそばばあ」
むつは、ほっとしたように山上を見た。先程のような弱々しい呼吸ではなく、眠っているような規則正しい呼吸になっていた。
「小娘に何が分かるって言うの‼」
「若いからかしら?何も分からないわ」
肩をすくめて小バカにするように、むつはへらへらっと笑ってみせた。ゆっくりと山上を寝かせると、むつは立ち上がりかずえの方に歩みをすすめた。
むつとかずえは正面から向き合っている。だが、顔には出ていないものの物凄く険悪な雰囲気が流れている。




