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7話
颯介はむつより先に立ち止まったが、むつはずんずんと人形に近付いていく。むつがたった1人で近付いていくと、人形たちは少し構えるようにじりっと後ろに下がった。だが、道を開けてくれるような事はなかった。
颯介の思った以上にむつが人形に近付いていくと、颯介も1歩ずつ前に進んだ。そして、むつが立ち止まり人形に背を向けた。手を伸ばせばすぐに、捕まりそうな距離だった。
人形がかたんっと音を立てて腕を上げると、祐斗はむつが捕まると思いぎゅっと目を閉じた。だが、だんっと踏み込む足音が聞こえ、ほっとして目を開けた。
むつが走り込んでくると、颯介は腰を落として手のひらを上にして両手を組んだ。むつはタイミングをはかりながら、颯介の手を足をかけた。
「まじかよ」
源太にもむつと颯介のしようとしている事が分かったのか、その様子を呆然と見ていた。




