2話
むつは首を横に振ると、椅子に座り靴を履いた。西原も同じように、靴を履くと椅子に座りコーヒーをすすった。
「え、何?裸足?何してんの?」
「階段ダッシュ」
颯介はわけが分からないといった様子で、疲れきっているむつと西原を見ていた。
「はぁ…帰るよ。コーヒーご馳走さん」
「ん、おはぎ並んで来てね。お土産待ってる」
西原が出ていくのをむつは、手を振って見送っていた。2人が何をしていて、何の話をしていたのかさっぱり分からない颯介と首を傾げつつも西原を見送った。
「で、本当に何してたの?」
「何か用事があって早めに出てきたからって寄ってったみたい。コーヒー飲んでおはぎの為に並ぶか否かの話をしてた」
「それと階段ダッシュが結び付かないけど?」
「んー?何か変な気配がして、気付かれないように靴を脱いで近付いたんだけど…逃げられたから階段下りてみたの」
むつは、すっかり冷めてしまったコーヒーをずっとすすった。そして、立ち上がるとキッチンに入りコーヒーを入れ直している。
「捕まえられた?」
「ダメだった…変な人が出てきたりとか見なかった?」
「どんな人だったの?」
「分からない。男か女かも分からない」