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7話
むつと源太を先頭に館内を歩いていく。物音もしなければ、追いかけてくる人形も新たに出てくる人形も居ない。
ロビーのソファーまで来た所で、むつは疲れたように座った。指先で揺れている陰火も弱々し気に小さくなっていく。
「ごめん、ちょっと限界」
そう言うと同時に、むつの指先から炎が消えて真っ暗となった。ペンライトも落としてしまったきり、拾えなかった。その事を源太が詫びたが、誰も責める者はなかった。
「少し休憩だな」
冬四郎はポケットからジッポライターを出すと、火をつけて床に置いた。僅かではあるが、明かりがある事に皆ほっとした様子だった。
「それで、むつさん今後の計画は?」
祐斗も疲れたのか、ソファーに座って足を投げ出している。颯介と源太は床にあぐらをあいて座り、むつを見ていた。
「社長の所に行く。式神が限界になる前に」
「何処に居るか分かってるんですか?」
「舞台だよ。たぶんな」




